
2001年ニューヨーク近代美術館「Workspheres」展参加、02年よりフリーランスでデザイン活動をはじめる。現在はメーカーへのデザインコンサルティングを行うほか、ライターとして『デザインの現場』『AXIS』など専門誌に執筆、「ジャパンデザインネット」「ライフスタイルネット.com」などにレポート記事を掲載している。
レポート・2
今回のインテリアライフスタイル展で初めて独立したパビリオンとして出展した、ベルギー・フランダース。カフェも併設されたゆとりのあるスペースでの展示が好評だったようです。
日本ではコレックスが扱っているベルギー人の陶器アーティスト、ピート・ストックマンスの新作もありました。主にブルー系のカラーでまとめられていた食器類に、グレーのトーンが新登場です。型で成形した後、手ですこしゆがみを与える形に個性がある「NIESSING BEAKER」をはじめオリーブオイルボトルなども揃っています。店頭ではもうすぐ販売開始するとのことでした。

*Piet Stockmans
日仏交流150年を記念し、フランス企業振興会と在日フランス大使館とが共同でサポートしたパビリオンで見た「ANGEL DES MONTAGNEA(アンジェル・デ・モンターニュ)」は、プレゼンテーションが目を惹きました。狭いブース内にベッドが2台、本物の枝でくみ上げてあるのですが子ども用のホームファニシングを紹介しているのではなく、ディスプレイ用に小さく作っているもの。可能な限り天然素材を用い、デザインはアルプル山脈のシンボルをモチーフにしています。たとえばスタンド照明のスタイルもストイックだからこそ、製品の質がより高まっているような気がします。

*「ANGEL DES MONTAGNEA」
展示で興味深かったのは「NORDIC LIFESTYLE(ノルディック・ライフスタイル)」のカールハンセン&サン。ブース内の一角で、創業からの歴史を振り返る特別展示として1950年代の製品を紹介し、工場の写真や製造工程を放映していました。製品の説明だけを何度も聞くより、実際の作業を知る方がやはり説得力はありますね。

*Carl Hansen & Son
イタリアを代表する家具メーカー、マジスで話題だったのは深澤直人氏の新作チェア「SOHO」。発表は昨年でしたが、国内でも本格的に販売されます。油圧式で高さ調節し、座面から背面は一体できれいなラインを描いていますが、適度な硬さを保ったままリクライニングできるところが快適です。過度にエルゴノミックな柔らかさではなく、あくまでもワーキングチェア。会場でちょっと座ってみただけですが、固めの座面はむしろ疲れづらいのではないかと予測しています。これは実際に使ってみたい!
会期は終了してしまいましたが、文具のプラスとのコラボレート企画展が開催されています。
赤坂見附にある同社のBTO型ファニチャーワークショップ「+PLUS(プラス・プラス)」にて、6月〜12月の期間毎月カラーテーマを変えながら、マジス製品を展示・販売するという企画です。現在のテーマカラーは初夏のイメージ、グリーン&ホワイト。そこにIL展と連動して「SOHO」チェアも展示されているので、見逃した方はそちらへ!

*MAGIS「SOHO」

*+PLUS & MAGIS
日本の伝統産業から新しい居住空間のためのアイテムを発信する「Style Japan」エリアはIL展のみどころのひとつですが、伝統技術を現代の暮らしに合う形にデザインした製品は、年々増えています。その牽引役でもあるいくつかのメーカーやプロジェクトは今年も存在感のあるブースを構えていました。



良いものをつくるところはブースデザインからちょっと別世界。富山県高岡の伝統産業である錫100%を用いる技術で名高い能作は、木の角材と発砲スチロールでシンプルなブースと繊細な製品がぴったりでした。錫やその他の金属素材が際立って見えます。
*能作
輪島キリモトの、発砲スチロールを使ったブースは不思議な光を発していました。展示台だけではなく、ブース全体の壁面すべてが発砲スチロール。そこに反射するように当てられた光がぼんやりと広がって、漆の深い色合いをより鮮やかに浮かび上がらせます。奥行きのある質感が遠目にも伝わり、おびき寄せられるようにブースに近づいてしまいました。デザインは製品も手がけている小泉誠氏。他に大治将典氏、山崎宏氏らが異なる個性を発揮しています。

*輪島キリモト
今年のIL展、俯瞰してみると全体的に家具よりもテーブルウェアや雑貨類などのインテリアアイテムが充実していたように感じます。インテリアの提案をもっと見てみたいという声も周囲から聞こえてきました。
その期待は、今年から11月19日から4日間開催されるIFFT(東京国際家具見本市)と融合した、新しい「IFFT interiorlifestyle living」に繋げたいと思います。季節的な違いだけでなく、IL展では見られなかった新鮮なインテリア関連の製品やデザイン、新しい発想を心待ちに。
*今年も公式ブログを読んでいただいた皆さま、私の担当は今回で終了です。ありがとうございました。
レポート・1 デザイナーの新作から
3日間があっという間に過ぎ、今年のインテリアライフスタイル展も盛況のうちに終了しました。31ヶ国から653出展者(国内419者、海外234者)は過去最高とのこと。当然ながらそれだけ製品数も多く、途中でめげそうになるのですが(!)じっくり見ていくと発見もたくさんあるものです。
若手デザイナーが自らプレゼンテーションするエリア「neON(ネオン)」に出展していた、ライスデザインの「食べられる食器」はアイデアが秀逸!乾パンで作った食器で、使用後は食べられるのでゴミを出さないという、〝使い捨て〟ではなく〝使い食べ〟。形も素朴で愛らしいです。ただエコを主張するよりも静かな魅力があります。

*ライスデザイン「食べられる食器」
同じく「neON」で、山田佳一朗氏が発表した「CALLA(カラー)」と「PERCH(パーチ)」は一見インテリアオブジェのようですが実は靴べら。花のカラーをそのまま模した形状は、柄にゆるやかなカーブがついていて力を入れやすく、小鳥が枝に止まる(perch)様子からつくられた形は台などのフチにひっかけられます。日常的に目が届く場所に置くためには機能だけではなく、こんな佇まいを求めたいものですよね。

*山田佳一朗「CALLA」「PERCH」
マイクロワークスの「Jump Out Mirror(ジャンプ・アウト・ミラー)」も「neON」にありました。壁掛け鏡から手鏡を取り外して使うことができます。手鏡部分はマグネットで止まっているので、簡単に着脱可能なところも動作がスムーズ。そういう気持ち良さもデザインのひとつだと思います。

*マイクロワークス「Jump Out Mirror」
さてこちらはデザイン界の巨匠、アンドレア・ブランズィ氏の花器「Tsukimi(ツキミ)」と時計「BOX(ボックス)」、富山のメーカー高田製作所のフィオリキアリブランドから。一輪挿しという日本の床の間文化と、西洋のセンターピースが合体したデザインです。フルーツを置くプレート部分は月面クレーターもイメージしているそう。一輪挿しの輪郭が風に揺れるススキに姿を重ねているところにも、〝お月見〟が表れているようです。
一方、「BOX」時計は表面にガラスを入れず、アルミを鏡面仕上げに磨いたフレームにシンメトリーな数字が映り込んでいます。時計の針は踏切の遮断機のように、時を分断しています。

*Andrea Branzi「BOX」「Tsukimi」
ベルギー、アントワープ近郊にあるヘンリー・ディーン社のガラス花器は、穏やかな色調とぽってりした存在感が魅力。世界中で人気です。花をいけないまま、花器だけでも絵になります!

*Henry Dean
デザイナー村田智明氏率いるMETAPHYS(メタフィス)の新作「susuki(ススキ)」は秋の枯野に揺れるススキをモチーフにした照明。200ミリ四方の台に5本のLED照明が立ち上がっていて、それぞれ1.8ミリ径のステンレスバネ鋼でしなやかに曲がります。先端はシリコンで覆われているのでやさしい光。ICプログラムによってほどよく光がチカチカ揺れる、生き物のようなランプです。

*METAPHIS「susuki」
デンマークのRiis社が母国の展示会で2006年に発表した全く新しい鍋、「BOIL(ボイル)」を日本で初めて紹介していました。なんとシリコン製!蓋もあるので、ケーキの型や保存容器としても使え、底に金属プレートを敷けばIH調理器で普通に料理ができるのです。揚げ物もOKで、オーブンレンジも問題ないそう。本体は柔らかいので水切りもしやすくとにかく便利だよ、とデザイナーのモルテン・リイス氏。4サイズに各4色、金属鍋ではむずかしい温かみのある色合いが会場でも人気の理由のひとつだったようです。

*Riis「BOIL」
速報・2 スペシャルショーケース&トレンドカフェ
今年もスペシャルイベントやショーケースが充実しています。
会場に入るとまず目にとびこんでくるのは、アトリウム中央に位置する「NORDIC LIFEATYLE(ノルディック・ライフスタイル)」。デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドのプロダクトが集められ、伝統的なノルディックスタイルから今年のトレンドにふさわしいデザインまで幅広くカバーされているといったところです。18ものブースが並んでいるので、ここを通るだけでもかなりのボリューム!

*「NORDIC LIFEATYLE」
そのすぐ隣には「Foodesign Guzzini Made in Japan(フーデザイン・グッツィーニ・メイド・イン・ジャパン)」が。日本を代表するデザイナー36組の作品を見つつ(手に取れないのは残念ですが!)、カラフルでポップなグッツィーニ社のオリジナル製品も忘れずに。昨日のオープニングレセプションで社長が、プロジェクトの中から数点は実際に製品化したいと考えていると述べていたので、果たしてどれが量産化となるか、予想してみるのも一興です。

*「Foodesign Guzzini Made in Japan」
若手デザイナーのショーケース「neON(ネオン)」もアトリウムにあるので一周するとちょっと休憩したくなるものですが、ちょうどいい具合に「NORDIC LIFEATYLE」には北欧カフェが併設されています。ランチにもなるボリュームのカレーやサンドイッチもメニューにありました。もちろんお昼時は混雑必至なのですが。
カフェはもう1ヵ所、アトリウムから続く長いエスカレーターで上がった西4ホールに「Belgian Cafe(ベルギー・カフェ)」があります。パビリオンとしてまとまった出展をするのは今年初めてというベルギー・フランダース・パビリオンの一角。屋外をイメージさせるレイアウトのカフェでお勧めなのはなんといっても、ベルギーワッフル。本場ベルギーで使われているワッフルメーカーで焼き上げてくれる大きなワッフルには、バニラアイスクリームとベルギーチョコレートソースがたっぷり‥‥‥これはぜひ半日歩き回り、頭も疲れ切った頃に補給してみてください。疲れがふっ飛びますよ!

*「Belgian Cafe」

*「Belgian Cafe」のワッフル!
速報・1 インテリアライフスタイルアワード決定
本日より始まりました、今年のインテリアライフスタイル展。朝から来場者も多数訪れ、盛況なスタートを迎えました。
(でもその分だけ入場登録に時間がかかるかもしれないので、時間に余裕をもって来場することをお勧めします!)
会場は昨年同様、東京ビッグサイト西ホール1〜4とアトリウムです。ご存じの通りかなり広いのです。すべてを念入りに見ていこうと思ったらとても1日では足りませんが、初日終了後のレセプションにて発表された「interiorlifestyle awards」の受賞者はぜひ見ておくべきところ。過去最大数の出展者から見事選出されたのは、以下の5組です。各賞は5名の審査員が独自の視点で授与されました。
*JID Design Award(日本インテリアデザイン協会賞)

「炭花草」アイオーティーカーボン社
天然素材の炭を利用した調湿・脱臭製品。審査員の川上玲子氏は「日本の素材を使い、健康と環境問題を考慮したものづくりとデザインが素晴らしい。炭のイメージに合わせた黒い草花のグラフィックが目を惹いた」とコメント。
*JDCA Design Award(日本デザインコンサルタント協会賞)

「YOnoBI」渡邉真典氏
日本の伝統工芸品を世界ブランドに位置づける商品戦略を試みてきた渡邉氏に授与。「長年デザイン誌を編集してきた経験から、そのキャリアを紙の上から土へと移し、いかにデザインをまとめ売る仕組みを作るかに注力してきた。自らリスクを負ってコンサルタントに徹する姿勢を高く評価したい」、と審査員の宮城壮太郎氏。
*『mono magazine』Award(『モノ・マガジン』賞)

「Foodesign Guzzini Made in Japan」グッツィーニ社
イタリアのキッチン用品メーカー、グッツィーニが主催した「フードデザイン」プロジェクト。36名の日本を代表するデザイナーが食関連のプロダクトを提案。パリ、ミラノを巡回した展示。『モノ・マガジン』編集長、帆足泰子氏は「年々高まる食への関心をデザインツールでさらに楽しさを広げていこうという力強い試みに感銘を受けた。未来への期待を込めて選出した」と評価。
*『NIKKEI DESIGN』Award(『日経デザイン』賞)

「SIWA 紙和」大直
山梨県の和紙メーカー、大直のプロジェクト「SIWA(しわ)」。「デザインとして素晴らしい以上に、ものづくりのスキームが背景にある。シワを施すことによって素材力を高め、さらにデザインで魅力を付加した。目の前で名刺をわざとしわくちゃにして渡す姿にも驚かされた(笑)」、と『日経デザイン』編集長、下川一哉氏。
*interiorlifestyle Young Designer Award(ヤングデザイナー賞)

sora design works(ソラ・デザイン・ワークス)
若手デザイナーが自ら出展するエリア「neON」から選出。「副賞はアンビエンテへの招待チケット。日本から世界へ羽ばたいてほしい」とエールを送った審査員の高田公平氏。
こうしてみると、どれも印象の強かったデザインが受賞しています。個性だけでなく社会的意義にもかなった哲学をもったデザインやプロジェクトばかり。会場で実物をチェックすべし!です。
ヤングデザイナー賞を受賞した、sora design worksの阿部和美さんのコメント、「ネオンは若手デザイナーとメーカーを結ぶ場です。明日、明後日の会期中、ぜひ見に来て、話をしてください。そして新しいデザイン製品が生まれるように力をください」という言葉が心に響きました。
デザイナーにとって、自分のアイデアと形が広く世に出ていくことは受賞の喜びにも代え難い、最大の望みなのだと思います。
キッズファニチャー
先日、スウェーデンの老舗玩具メーカー「BRIO(ブリオ)」の新作コレクションを見てきました。ブリオ、といえばイメージは木製レールのおもちゃでしょうか。機関車や貨物車まで木製ながら電池で動く、あのレールウェイシステムが揃ったメーカーとして世界でも有名です。レール部分は木肌のままなので、温かみのある雰囲気がまさに北欧テイスト、1958年に誕生して以来、どの世代でも子どもの心を掴んできたロングライフシリーズのひとつです。
ブリオの創業はそのレール玩具の発売より遡ること数十年。120年の歴史を通じて知育玩具を研究開発し、現在でもスウェーデン王室御用達なのだとか。
今回、発表されたコレクションは新生児から就学年齢までを対象とした知育玩具のラインにはじまり、家具類まで充実していました。
そのどれもが、大人も選びたくなるデザインなのは嬉しいこと。特にプレゼントに使うことも多い玩具類は、セレクトする側のセンスも問われますからね!加えて、インテリアにも馴染むデザインだったらなおさら惹かれます。
中でも「BRIO SIT」と「BRIO GROW」、子ども用ハイスツールに注目してみました。
ブナ材の「ブリオ・シット」は定番を踏襲した形に、ブリオならではの丸みと色調を組み合わせています。一方、「ブリオ・グロウ」はタマゴを彷佛とさせる子どもらしいエルゴノミックな形状の、でもシンプルでクールなデザインが特徴。
クッション性の高いウレタンラバーフォームを使用した座面と背面は一体で、グラスファイバー製の構造体とスチールの脚部に支えられています。見た目に安定感がありながら、余分なデザイン要素を極力おさえたスタイルは、きっと大人のインテリアにも溶け込みます。子ども用だからとデザインを諦めたくはありません。

*「BRIO SIT」

*「BRIO GROW」
本国での発表は昨年でしたが、日本ではこの6月から扱われるとのこと。インテリアライフスタイル展には、ブリオ独自の出展は予定されていませんが、他にもキッズ関連製品を扱っている出展者は、たとえば次のところなど。
デンマークの「ROOM MATE(ルーム・メイト)」のクッション「HAPPY CAT」はドイツのレッド・ドット・デザイン賞を受賞、形が自在になる発砲ポリスチレンビーズは、子どもにも人気。
アメリカ製の「UGLY DOLLS(アグリー・ドールズ)」は2006年のトイ・オブ・ザ・イヤーを受賞したぬいぐるみ。どこか遠い星の生物かのような愛嬌ある表情は、むしろ大人のインテリアアイテムですね。
イタリアのMAGIS(マジス)も著名デザイナーを起用した、キッズファニチャーだけの「me too(ミー・トゥー)」コレクションを継続しています。
キッズファニチャーは成長に合わせて一時期にしか必要のないものだからこそ、子どものために作るのは何なのか、何を大人と共有するのか、というところから見極めるべきなのかもしれません。
家具であり、楽しさもあり、かつ安全で頑丈であること‥‥‥他にも挙げ始めればきりがないほど、子ども用のモノには求める要求も高くなります。そしてデザイン性も同じくらい重視されるべき要素のひとつ。良質感と軽快さ、清潔感のあるキッズファニチャーがもっと増えますように!
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