仏文科卒業後、編集職を経て2002年1月渡仏。パリ・サンジェルマン地区に在住。
現在はインテリア、グルメ、女性、男性誌などジャンルを問わず、雑誌を中心にフランスに関する取材記事の執筆、撮影コーディネイトを行う。

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建築家Beoit Izardさんインタビュー

 今回はフランス人建築家、ブノワ・イザールさんをご紹介します。

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 ブノワさんは設計のお仕事のほか、個人的にパリのアパートを購入しその場所に居住しながらリノベーション、売却が済むとまた別の物件を購入…という生活を続ける流浪の建築家。建築学校卒業後にアムステルダムの演劇学校へ留学経験があり、現在はダンサーとしても意欲的に活動中だそうです。


 アパルトマンに住みながら改装をしていくこの仕事を始めたのは7年前のこと。
 「今まで手がけた物件は15件くらいですね。現在は19世紀半ばに竣工した、オスマン様式のアパルトマンを工事中です。期間はアパートの大きさや状態によっても異なりますが、ここは160㎡の広さで10か月かかっています。特にオスマン様式は壁や天井の装飾、床などが凝っているだけに修復が大変。小さなアパートなら3-4か月で終了します」


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19世紀半ば、オスマン知事の指示のもとになされたパリ大改造計画。
オスマン様式とはその折に建築された豪奢な建物をさす。
この物件もオスマン様式。写真の部屋は以前ダイニングルームだった


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ワンフロア下のアパートもブノワさんが改装。ここはリビングルーム


 アパートの購入先はいつもバラバラで、新聞広告で見つけたり、人の紹介でめぐりあうこともあるそう。
 「この物件も口コミなんです。数年前にこの建物内のワンルームを購入したところ、持ち主が別フロアのアパルトマンも見せてくれて。すぐにそこも押さえて改装しました。いま工事中のこの物件も続けて購入。だからここは、同じ建物内で3件めの改装なんですよ」


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大きな鏡は19世紀のオリジナル。
塗装がはげ、ふちが欠けるなどひどい状態だったが美しく修復した。
この作業ができる腕のよい職人を探すだけでもひと苦労だった


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壁や天井の装飾を手がける職人はもう存在しないから、大事に保存したいと語るブノワさん。
上はシャンデリアのための天井飾り、下は食堂の壁飾り。よく見るとエビや家禽類の姿が

 リノヴェーションはまず壁や床を修復し、キッチンやバス、トイレは新しいものを設置。仕入先は物件により異なり、卸の業者へ頼むことが多いそう。家具や照明もブノワさんがセレクト。買い手が希望すれば家具付物件として売却します。
 「改装する上で僕が大事にしているコンセプトは、『建築当時の状態を生かす』こと。たとえばオスマン様式のアパルトマンは壁や天井の装飾、床板の張り方など何をとっても素晴らしい。現在の技術では再現できない手法を使い、非常に価値が高いのですよね。だからこういったものはできるだけ修復して残す。そしてキッチンやバスなどは思い切りモダンに仕上げ、今日のテイストをプラスします。古いものと新しいものをミックスする作業は時間もかかるしアイディアも必要だけど、試行錯誤を重ねて思い通りの空間が仕上がった瞬間、本当に嬉しいんです。だからこの仕事を続けているのかな」

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エントランス空間を演出する照明使いにアイディアが


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改装前はバスルームがなかったため、小さなスペースを一新。壁の赤いライトは光の強さを調整できる


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寝室の壁は白ではなく、ベージュなど落ち着いたトーンにペイント

 今後は地方の大きな物件を手がけていく計画、と語るブノワさん。
 「今進行しているのは、ジュラ地方にある5階建ての工場の一部を住居にする計画です。緑の中に建つこの物件は窓も大きく、部屋から素晴らしい眺めが楽しめる。将来的には、安全で良質な素材を使用したエコロジックホテルを建ててみたいんです。オスマンのアパルトマンのように、厳選した素材を丁寧な仕事で仕上げ、150年以上居住できるような物件。それが現在の夢です」

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改装前の工場。大きな窓を生かした居住用アパルトマンに造りかえる


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すべての部屋にテラスをつけ、眺めを楽しめるような住居に


 日本へはまだ訪ねたことがないけれど、憧れてやまない場所だそうです。
 「近代建築や古い家屋にとても興味があります。いつか是非、日本でも活動してみたいですね」


Benoit Izard

1972年フランス生まれ
1990-96年Ecole d’Architecture de Lyonで建築を学ぶ
1993-94年 South Bank Polytechnic of Londonへ留学
1998年 フランス政府公認建築家資格DPLG取得

1996-2000年アムステルダムの演劇学校 Kunst Academieへ留学
2000年 パフォーミングアートの学士号を取得

ブノワさんが手がけたアパルトマンのサイト
http://www.exegese.online.fr

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